熱函(NETSUBAKO)

Let her insult me. Let her spit on me. She has an immortal soul, and I must do all that is in my power to save it.

アニメ『Wake Up,Girls!』舞台探訪 気仙沼2020

仕事でたまたま気仙沼を訪れる機会があり、本当にたまたま宿がアニメ『Wake Up, Girls!』9話で描かれた付近だったことから、空き時間に気仙沼・内湾地区周辺を散策した。

 

WUGに(当社比で)熱心になったのが2018年と遅く、気仙沼を訪れるのも人生初。直前に9話を見返したもののそもそもの土地勘がなかったため、2014年に同地の舞台探訪をしたブログ・つればしの当該ページを直接の参考とした。また、舞台探訪が訪問の直接の目的ではないため、舞台を網羅することや画角の再現はしていない。また、ビフォーアフターは下記ブログかアニメ『Wake Up, Girls!』9話を参照のこと。

tsurebashi.blog123.fc2.com

気仙沼港・七十七銀行気仙沼支店前交差点

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WUG本編中では交差点周辺は更地となっていた場所。現在は元の場所に七十七銀行気仙沼支店が再建され、2020年1月27日より営業を開始した。

津波被災の七十七銀行気仙沼支店 元の場所に再建、営業開始 | 河北新報オンラインニュース

 

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旅館・大鍋屋

宿泊していないのに外観を撮るのもなあ……と思い撮影はせず。改築されたようで、道路に面していた玄関は道と垂直方向に位置が変わっていた。

公式サイト - 気仙沼 大鍋屋本館

 

五十鈴神社

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五十鈴神社前の道路。作中や当時の舞台探訪写真と見比べると、ガードレールのワイヤーがなくなってポールだけになっていたり、奥の部分がかさ上げされて整備されていることが分かる。

 

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鳥居。

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撮影時は気付いていなかったが、階段がなくなって道からコンクリートのゆるやかな傾斜となっており、その高さまで道がかさ上げされていることが分かる。

 

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鳥居横のガードレール前からの景色。まさに重機を入れて工事中。なお、五十鈴神社境内は撮影せず。

 

復興屋台村・気仙沼横丁

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そもそもの場所を知らずおおよそここにあっただろうと思われる場所を撮影。

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大体この辺。かさ上げ工事の対象として2017年に閉業。入居していた店舗は近隣に移転している模様。

 

観光さん橋前

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装いをもっとも大きく変えていたのが観光桟橋前。遊覧船乗り場や商業施設が入った港沿いの施設がすでに営業を開始していた。

気仙沼・内湾地区の観光集客4施設、開業祝い式典 | 河北新報オンラインニュース

 

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港町ブルースモニュメントがあった付近(のはず)。裏手の男山本店も2020年7月に再建されたばかりとのこと。

kesennuma-kanko.jp

 



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島田と菊間が座っていたベンチの跡地付近(のはず)。完全にリニューアルされ、震災以前・震災以後、いずれの風景も残っていない。

 

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これはラプラス・シップ。

oshimakisen.com

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観光桟橋から道を挟んだ反対側。クラフトビール醸造所や商業施設がオープンする一方で更地の部分も残っている。

 

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奥に五十鈴神社を望む。

 

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奥にかかるのは2020年度末より供用を目指す気仙沼湾横断橋。

復興道路の気仙沼湾に架かる橋梁の名称は「気仙沼湾横断橋」に決定。2020年度末に開通予定 - トラベル Watch

 

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港周辺にて。恐らくは震災以降ずっと放置されている遺構。

 

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安波山の中腹から望む内湾地区の夜景。

 

 内湾地区は観光集客の要となる地域ということもあり、新たな商業施設の整備などかなり重点的に工事が進められている印象を受けた。一方、まもなく震災から10年という時期に未だかさ上げ工事中の場所が多く、また撮影日が平日、かつ新型コロナウイルス感染症の絡みもあるとは言え、そもそもの人影がまばらという光景を見ると、なんとなくスローガンのようになっている「復興」「応援」は一体いつになったら達成されるのか、無限遠点ではないか、と気が遠くもなる。

 

作品のファンというだけで、義務感で同地を訪れ続けることが健全かどうかは分からないけれども、しかし、現実的には惰性でも罪悪感からでも、被災地に足を運んで、「これこれこうだった」と喧伝して、現地に金を落とす人間の存在が多ければ多いほどいいのだよナー、と月並みなことを改めて感じる訪問となった。

 

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飲んで応援。

ユニゾンをこする / ユニゾンスクエアガーデン Best

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 セルフライナーノーツ:中山12R 3歳以上2勝クラス

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8.

   セルフライナーノーツ:

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9.

 セルフライナーノーツ:2020年にジョージ・ブッシュをこするのを即刻やめろ

 

10.

 セルフライナーノーツ:人権は、人種や民族、性別を超えて、誰にでも認められる基本的な権利であり、私たちが幸せに生きるためのものです。しかし、現在も人権をめぐるさまざまな問題が生じています。

 

11.

 セルフライナーノーツ:12月にみんなで熊本行きませんか?

12.

  セルフライナーノーツ:嫌われるよ、おしゃべりすぎる奴は

 13.

  セルフライナーノーツ:ニゾンスクエアガーデン最高。一番好きなオリオンです。

14.

 セルフライナーノーツ: ベスト盤のボーナストラックです。

ガールズラジオデイズ 手取川海瑠の名前の由来備忘録

手取川海瑠とは

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garuradi.jp

 

苗字

 

 

 

名前

 

milou(仏:雪の、雪のような) ※個人の感想です

 

北陸地方の中では標高の高い山であるため、他の山では残雪が消えた季節でも「白い山」 ja.wikipedia.org

 

db.netkeiba.com

ミルウの新馬戦に全財産ぶちこみました!

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2020/7/26 12:20 追記

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2022年1月4日 2:40 追記

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滅びようのない世界で暮らし続ける『天気の子』感想

映画『天気の子』を観ました。単純に前作『君の名は。』と比べても夏休み性(定義不明)が向上し、小さなお子様から大人まで楽しく観られるアニメ作品になっていました。大変楽しく観ましたが、一回観ただけなのでひっかかりもあり、何がどうひっかかったのかだけ記すこととします。

好きな人と世界との天秤と、無限ではなかった世界の歪み

『天気の子』は、雨の降り続ける観測史上類を見ない東京にやってきた帆高が、東京での生活をともにした少女・陽菜を喪失し、取り返す物語です。取り戻す過程において、代わりに差し出すものは、陽菜が生贄となったことで取り戻した東京の晴天。誰もが、自分ですら望んでやまない青空を永久に失うことと引き換えに、陽菜の犠牲をなかったことにする。その結果、江戸時代以来拡張し続けた東京は海に飲み込まれる。

少女か世界かという天秤はこれまで様々な作品で描かれてきましたが、今回、陽菜は誰かに犠牲になることを強いられたわけではありません。「天気の巫女が人柱になってきた」歴史の営みを知り、また、帆高が素朴な思いとして「晴天がほしい」と答えたことから、自ら生贄になることを選んだわけです。

それに対し、そういった自己犠牲を否定しつくして、「何に変えても好きな人を取り戻す」と行動に移したのが帆高です。社会や秩序を維持するために、特定個人が犠牲になる必要はない、子供たちはそれぞれの幸福を追求してよいのだというメッセージを読み取りました。

ただ、そこで引っかかるのは、少女の犠牲を帳消しにした引き換えに世界にもたらされた歪みの意外な小ささです。東京は水没しましたが、失われた山手線に変わり、ボートの定期便が浜松町くんだりを運行している。下町から引っ越した立花のおばあさんはそれなりに平穏に暮らしている。彼女は、内心でこの水没した世界を作り出したと感じている帆高に「もとに戻っただけ」だと声をかけます。さらに直接的に、東京での上司であった須賀にはそうした自責の念を一蹴されます。

彼らがそうしていられるのは、東京が水没したことで世界が滅びたわけではないからです。たとえば、エヴァ破で「綾波を返せ!」と行動に移した結果、Qでの破滅をもたらしたシンジへの態度を翻した葛城ミサトのように、大雨が日本列島全部を呑み込んだ時に、須賀が一貫した態度をとり続けられるのか。「子供は自分の幸福を追求してよい」というメッセージは「ただし、世界が決定的に破滅しない範囲で」という但し書きがあるのではないか。そうした踏み込みの浅さを感じていました。

東京の水没とは何なのか。破滅が局所的に留められたということは何なのか。現代の子供の目線に立って考えた時、最早「世界の破滅」というものは架空の存在で、あるのは東日本大震災、直近で言うならば京都アニメーションの放火事件のように、日々繰り返される限定的な破滅であるからだと思い至りました。

阪神大震災を例にとれば、横倒しになった高速道路のような取り返しのつかない規模の破壊も、20年で傷を覆い隠し、京阪神の人々は日常を送ることができています。残酷な言い方をすれば、今起きている京都アニメーションの決定的な喪失も、20年もすれば我々は歴史的な事実として諦観し、忘却していくということです。にもかかわらず、目の前で起きる悲劇に対して「何かできることはないか」という気持ちや、「私ではなく他の人が助かればよかった」という心傷を負う人が確かにある。

水没した東京は、そうした限定的な破滅の類型です。そうした破滅の前で、「自分が犠牲になることで破滅を回避できる」というファンタジーを提示したうえで、そうする必要はないのだと否定する、そうした素朴な祈りが本作品の設定にあるのだと思いました。

もちろん、それでも帆高は、陽菜は、水没した東京を見て祈らずにはいられない。だとしても、2人の再会に彼らは心からの幸福を感じる。「世界の形を変えてしまった」というモノローグは、客観的には事実ではなく、主観的には事実です。ラストシーンは、避けようがあったにせよ、避けようがなかったにせよ、破滅した世界の中で、自責を幸福が優越するという瞬間があり、そのことは罪ではないのだと、ただそのことだけを伝えようとしていたのではないかと、今は思います。

2019年ここ行ったよリスト

観劇に類するものが対象。

1月

なし

2月

音楽:2月2日(土) 松戸・森のホール21 わぐりすらん(バレンタインライブ) 昼の部 夜の部

音楽:2月9日(土) 鳴門市文化会館 Wake Up,Girls!FINAL TOUR-HOME- part3 KADODE 昼の部 夜の部

音楽:2月23日(土) 仙台サンプラザホール Wake Up,Girls!FINAL TOUR-HOME- part3 KADODE 昼の部 夜の部

音楽:2月24日(日) 仙台サンプラザホール Wake Up,Girls!FINAL TOUR-HOME- part3 KADODE 昼の部

3月

音楽:3月2日(土) 神楽坂・神楽音 リトルガールハイエース

音楽:3月4日(月) 下北沢CLUB Que 高橋徹也 / the MADRAS

音楽:3月8日(金) さいたまスーパーアリーナ Wake Up,Girls!FINAL LIVE~想い出のパレード~

映画:3月13日(木) 新宿バルト9 コードギアス 復活のルルーシュ

4月

野球:4月4日(木) 神宮球場 ヤクルト(寺原)-DeNA(大貫)

芝居:4月12日(金) シブゲキ 爆走おとな小学生『舞台版「魔法少女(?)マジカルジャシリカ♡アニメ版なんてありません」』

いかにして俺はWUGに出会わなかったのか

このエントリの発端は山本寛のブログを読んだからだけれど、それに関する話はしない。

Wake Up,Girls!のライブにはまったのは、HOMEツアーpart1、大宮公演に誘われたから。それは以前のブログにも書いた。けれど、正確にはWUGの現場はそれが2回目だった。2017年、わたしはWUGのライブに足を運んでいる。すなわち、わたしはファーストインプレッションでWUGが刺さりはしなかった。自分の気持ちを整理するためにこのエントリを記す。

声優現場に対する偏見と抵抗

2017年2月。イオンレイクタウンでにぎわい東北 presents Wake Up, Girls!in レイクタウン ミニライブ&お渡し会が開催された。わたしの自宅から自転車で行ける距離で、無料観覧できるという。その時わたしは七人のアイドル、TV版、青春の影Beyond the Bottomを見ていたし、Wake Up, Best!1、2ともに聞き込んでいた。さらに言えば当時の最新シングル「僕らのフロンティア」も持っていた。WUGのことは既に知っていたし、楽曲がいいとも思っていた。だから足を運んだ。

会場はレイクタウン1階の吹き抜けスペースで、わたしは3階にいた。1階から3階まで200人ほどいただろうか。その時感じたのは「こんなものか」と「大丈夫そうだな」だった。前者は、無料観覧で混乱が起きるほどの動員がかかることはないという現状、後者は、こんな地の果てみたいなショッピングモールに朝早くからこれだけ集まるなら十分ファンは根付いているんだろうな、という安堵だった。

 HIGAWARI PRINCESSと7 Girls War が披露された記憶があるが、セットリストをみるとタチアガレと極スマもやったようだ。ライブパフォーマンス自体は「ああ、いいものみたな」と思ったのを覚えている。

そこで、いわゆる「ワグナー」にならなかったのにはいくつか理由がある。1つは、衝撃を受けるほどの出来ではなかったこと。2つは、ファンがちゃんとついて軌道に乗っているミュージシャンを応援しようと思わない自分のスタンス(売れないミュージシャンが好きで下北沢がホーム)。3つは、ファンの振る舞いだった。

1Fのステージ前にはパイプ椅子で観客席が設けられていて、整理券を持っている人はいい場所で観覧できる仕組みだった。入場開始とともに、猛然とかけてきた数名がパイプ椅子に突っ込んで倒れていた。それを3Fから見ていたわたしは「これだからオタクは」と嫌悪感を覚えた。

声優のライブを見たのは2015年のアニメ紅白以来で、そこが比較的大人しいイベントだったから、落差を感じたのも本当だ。自分自身、竹達彩奈の「ライスとぅーミートゆー」でコールを入れていたので(ここでコールを入れるよな、というのは音源を聴いていて分かった)声優ファンの気持ちは分からないではなかったけれど、転倒するオタクを見て、社会性を犠牲にしてまでやりたかねえやな、ああいうのはちょっと、というのが嘘偽らざる感想だ。

だから、HOMEツアーに誘われ東武野田線で大宮に向かっている間も、内心は怯えていた。ああいう層がワグナーのメインだったらどうしよう。ライブは楽しみだ、でもそれ以外の部分で不愉快な気持ちになったらどうしよう、と不安だった。チケットをくれた友人を信用していたからこそで、そうでなければチケットをもらってもいかなかったかもしれない。

 安泰という誤解

その後、恋?で愛?で暴君です!を購入するなど在宅オタクとしては変わらず過ごしていた。2018年5月にも、前述の友人にGreen Leaves Fesへの参加を勧められていたものの、当時は高橋徹也やthe MADRAS、果ては西早稲田に店を構えたthe pillowsの元サポートベース鈴木淳などを追うのに手いっぱいで、結局見送った。

その時はオタクがどうという話は忘れかけていて、むしろメジャーなグループを応援しなくても、という気持ちの方が強かった。

当時、それほど真剣に追いかけていなかったわたしから見たWUGは、ラブライブ!アイドルマスターの後塵を拝する第三極だった。新章の商業的・作品的失敗は耳にしていたけれど、山本寛を下ろしてもアニメをはじめとする各方面への展開は継続する姿勢、他アニメへのタイアップで、他のコンテンツと違い、まさにアイドルとしてアニメ業界にポジションを取りに行く新たなアプローチ、楽天主催試合でのコラボ(プロ野球ファンからすれば、始球式に登場する声優が所属するグループが落ち目にあるとは思えない)、さらに単独イベントGreen Leaves Fesが開催できることそのもの、それらを総合して、後2年は続くコンテンツだと思っていた。キャパが200人のライブハウスを埋めるミュージシャンを「人気」と思う人間は、幕張メッセのイベントホールを使うユニットを「大人気」と思ったのだ。というか、普通に考えて、新アニメ放映終了半年もたたずに解散するのを誰が予想できるのか。

わたしはワグナーを自認する前、ライブ以外にも、WUGのメンバーが登壇するイベントを見たこともある。彼女たちはゲストとして立派に振舞っていたし、その印象も強かった。これからもっと大きくなると思ったし、それがWUGの成長にもつながると思った。それは半分正解で、半分間違っていた。

 

 

 

この時点でわたしはワグナーではない。それでもうろたえるのだから、熱心なワグナーの狼狽は計り知れない。

だが、直後にライブのチケットを探すことはしなかったし、HOMEツアーの存在も知らなかった。「結局間に合わなかった、自分は乗り遅れたコンテンツ」がこの時のWUGだった。

オオカミとピアノ

話が前後するが、わたしがWUGの楽曲を知ったのは山下七海さんがオオカミとピアノをカラオケで歌う動画だった。細い、かわいい、しなやか、あざとい、完成度が高い。曲もものすごくキャッチーで、楽曲派ではないけれど、山下七海田中秀和のコンビが自分にとってのWUGの原点だった。ライブにこそ引き込まなかったが、これがなければWUGのアニメを見ることはなかったろうと思う。

不安を抱えて臨んだ大宮公演、ペンライトも持っていないので、ビジター応援席に迷い込んだような気分でいた。友人が(今思い返すと彼には頭があがらない)ペンライトを貸してくれて、ようやくファンを装えそうだ、ぐらいに思っていた。

中盤、キャラソンメドレーがはじまった。どれもBestに収録されていたので知っていた。だが、演者がソニックシティの通路に出て歌うのは知らなかった。

オオカミとピアノ。山下七海が通路で歌っている。

「シャンシャンシャンシャン!!」

ろくにコールも覚えてこなかったわたしが絶叫した瞬間だった。たがが外れた。その後は1番でコールを理解し2番に間に合わせるという形でライブに参加した。終演後、来てよかった、来るべきだったと笑顔で思った。夜公演のチケットもなければその後のツアーのチケットもないのに、物販でワグナーブレードを買った。帰ってわぐらぶに入会申し込みをした。レイクタウンで見た時は「吉岡茉祐は歌が力強いな、青山吉能は綺麗で上手だな」と推しも決まっていなかったのに、俺の推しはななみんだ!と理解した。

タチアガレとライジングテーマ

こんなすごい舞台を見逃してはいけない。そう強く思ったのは間違いない。それはWUGの、そしてななみんのパワーだった。だが、それだけがHOMEツアーに後追いで参戦した理由ではない。WUGのことを調べるうちに、解散とファイナルツアーがどうやら負け戦であるということを悟ったからだ。

わたしは横浜ベイスターズを応援するようになってそろそろ10年になる。10年前、TBSフロント時代のベイスターズは暗黒そのものだった。金はあってもやる気のないフロント、外れるドラフトと補強、改善されない投壊、主力選手の喧嘩別れに近い流出、果ては身売り騒動。実を言えば、どうしようもなく弱かったからこそ、わたしはベイスターズファンになった。これより下はない、後は上がり目だけ。1試合でも勝てば嬉しい。はません(5chの野球板のベイスターズ実況スレ)では勝利すると「横浜優勝!」の文字。いつのころからか「優勝を更新」という言葉が演者から聞かれるようになったが、わたしには、まるでベイスターズの1つの結末であるかのようにオーバーラップして見えた。

横浜ベイスターズには、通称やけくそチャンテと呼ばれるライジングテーマがある(現在は3点差程度の終盤ビハインドでも使用)。

レッツゴーベイ 不器用で かっこ悪くても
選手を信じ 声を枯らし
レッツゴーベイ 変えてゆく 俺たちが変える
想いよ届け 君のもとへ

熱く!熱く!熱く!立ち上がれ!!

 このエントリを書いた最大の理由がこれだ。WUGが負けたユニットだからこそ応援する気になった。WUGが失敗したプロジェクトだからこそHOMEツアーに自分がいる。コールを、大敗時のヤケクソの気分で、すがる思いで叫ぶライジングテーマのように思っていた。ツアーは楽しかった。誰もが初対面のワグナーはいい人ばかりだった。MIXやクソコールに苛立ちつつもだんだんと「まあ少しぐらいは」と許容できるようになっていった。それでもいつも引け目があった。俺は純粋な気持ちでWUGのファンでいるのではないと。

みゅーちゃんの手紙に救われた気がしたSSA

それでもツアーは優勝を更新し続けたし、WUGちゃん優勝したぞ!という高揚感があった。仙台も、当初は1日目だけの予定を、粘って2日目昼の当日券で参戦した。

そして迎えた3月8日。ライブの感想は以前のエントリに書いた通りだ。

自分の中にあるわだかまりをほどいてくれたのは、みゅーちゃんの手紙だった。ありがとうの手紙。実を言うと、ほとんど内容を覚えちゃいないのだ。ただ、WUGにかかわったあらゆるものごとへの感謝を、いつも笑顔のみゅーちゃんが言うのを聞いて、何故だかもう涙が止まらなかった。

WUGが幸福な、理不尽のない、思い描いた理想の姿であったならば、俺はきっとこの場にいない。君達の青春の蹉跌の果てにこそ俺はワグナーでいる。そんな自分でも、この場所にいていいんだ、追いかけてきてよかったのだと、許しをもらえた気がした。

Wake Up,Girls!は、本来意図しなかったであろう負のハイパーリンクによって、劇中の彼女たちと同じく苦難を強いられた(らしい)。アニメーションのWUGと声優ユニットのWUG、両軸だったはずのそれを一身に背負った彼女たちは、「優勝を更新」「WUG最高!」「明日のことは考えない!」とすさまじいパワーでプロジェクトの結末を最高の景色に塗り替えた。その在り方で、彼女たちにとって最良のファンではないわたしも肯定された気がしたのだ。

 

親しい人の訃報を、葬儀を終えてしばらくして、人づてに聞いた過去がある。あの時の現実感のなさといったらなかった。だから、生きているうちに、動いているうちに、会える人に会う、行ける場所に行く、そうしようと思っていた。けれど、WUGでわたしはそれを実践できなかった。興味があるのにライブに行こうと思わなかった。詳しく知ろうともしなかった。

だからこそ、SSAの、エクセトラの、おまけの、余生の、すべての決着がついた後のステージを観られて本当によかったと思う。そして彼女たちは生きている。

東北には行きたくなかった。父方の田舎である二本松にいい思い出がないからだ。けれど、WUGは福島を超えて仙台、盛岡まで引っ張ってくれた。イーハトーヴシンガーズの演奏を聞きに今年再び盛岡には行くつもりだ。仙台の聖地巡礼も済ませていない。二本松にも寄れたらいいと思う。

ななみんのラジオの第2回が控えている。エビストの交代メンバーとして加入したななみんはアウェーらしいので、チケットが取れたら公演に行きたい。まゆしぃの舞台も、お金があれば行きたい。青山吉能機関車トーマスは、7 Girls Warでクソコールを入れてしまった手前見に行けなければならないだろう。かやたんのずーぱらもそうだ。みゅーちゃんのDJイベントの開催を待っている。セファンだからあいちゃんの楽天トークはフラットに聞ける。みにゃみのファイブスターズは水曜日の帰路の楽しみだ。

Wake Up,Girls!は優勝した。その優勝の軌跡には、あまたの敗北が横たわっている。その敗北の側にわたしはいる。それでもWUGは勝利も敗北も、幸福も不幸もすべてひっくるめて「優勝」と言ったのだ。わたしにとってその言葉は、今話したぐらいの意味合いだ。

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